丸善日本橋店の試み
有名企業の課題図書
この記事は丸善日本橋店で行われた『有名企業の課題図書』と称したフェアで紹介されていた書籍を紹介する記事の2つ目である。まず初めに前編を読むことをおすすめする。前編はこちら。
紹介された業種
扱われていた業種は以下の通りである。- 製造業
- サービス業界
- 電機業界
- 情報通信業界
- 金融業界
- 不動産業界
- 食品業界
- 小売業
- 流通業界
- 商社
- 製薬業界
- 医療機器業界
- 教育機関
- コンサルティング
- 各種業界
「○○業」と「○○業界」とで表記が分かれていることに意味があるのかどうか不明だが、丸善で紹介されていた通りの名前に従うものとする。
中編(この記事)では5.金融業界から13.教育機関までを紹介する。
5.金融業界
金融業界の課題図書
金融マンのための実践ファイナンス講座
金融マンのための実践デリバティブ講座
金融マンのための不動産ファイナンス講座
銀行・証券・保険リテール営業で今すぐ使える税金の本
金融英語入門
あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール
ミス激減・業績UP!チームを思い通りに動かせるダンドリ上司術
7つの危険な兆候
トヨタの片付け
2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート
日本一を目指す物流会社のすごい社員勉強会
ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則
感想
銀行か証券会社か、はたまた保険会社か判断しかねるが、実務的なタイトルが並んでいる。新入社員よりは少し経験があり、部下もいるような年次の社員向けの書籍であることを思わせる。
『7つの危険な兆候』は企業における大きな舵取りの失敗に対し、経営者と組織がどう向き合うべきかを提示している。戦略が上手く機能しなかった場合の対策にシビアな視点でフォーカスしている名著である。
前編の4.情報通信業界で『ビジョナリー・カンパニー』を紹介したが、続編である『ビジョナリー・カンパニー2』も同じ理由でおすすめできない。先に『なぜビジネス書は間違うのか』を読むべきである。
『7つの危険な兆候』は企業における大きな舵取りの失敗に対し、経営者と組織がどう向き合うべきかを提示している。戦略が上手く機能しなかった場合の対策にシビアな視点でフォーカスしている名著である。
前編の4.情報通信業界で『ビジョナリー・カンパニー』を紹介したが、続編である『ビジョナリー・カンパニー2』も同じ理由でおすすめできない。先に『なぜビジネス書は間違うのか』を読むべきである。
6.不動産業界
不動産業界の課題図書
チームで最高の結果を出すマネジャーの習慣
マネジメント・テキスト 経営戦略入門
営業マンは「お願い」するな!
「時間がない」から、なんでもできる!
電話はなぜつながるのか
感想
硬派な経営戦略の教科書とライトな自己啓発本の組み合わせで、いまいち対象が想像できない。『電話はなぜつながるのか』が課題図書であるというのは、不動産業では固定電話の仕組みについて知っておく必要があるということだろうか。
7.食品業界
食品業界の課題図書
洋菓子の経営学―「神戸スウィーツ」に学ぶ地場産業育成の戦略
ディープ・チェンジ 組織変革のための自己変革
誰でもアッという間に不思議なくらい商品が売れる販売員の法則
中内功のかばん持ち
感想
中内功とはダイエーの創業者で、日本の流通革命と価格破壊に大きく貢献した人物である。戦後から消費者に安く商品を届けることを信念にし続け、松下幸之助とは価格に対する考え方の違いで対立し続けたという。ダイエーの経営から引退する際の「人生に楽しいことは何もなかった」という言葉が有名である。
8.小売業
小売業の課題図書
戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉
安売りしない会社はどこで努力しているのか?
社長のノート3 利益を出せる人 出せない人
「先延ばし」にしない技術
手紙を極める
感想
手紙の書き方であるとか、安売りしない姿勢であるとか、高級百貨店が読ませていそうなセレクトである。
『戦略読書日記』は前編の2.サービス業で紹介した『ストーリーとしての経営戦略』と同じ著者が書いている。
内容としては企業戦略本(一部直接関係ないものもある)への書評であり、紹介されている本は『ストーリーとしての経営戦略』と関連しているため、単独で読むよりは、併せて読むと理解が深まるかもしれない。
『戦略読書日記』は前編の2.サービス業で紹介した『ストーリーとしての経営戦略』と同じ著者が書いている。
内容としては企業戦略本(一部直接関係ないものもある)への書評であり、紹介されている本は『ストーリーとしての経営戦略』と関連しているため、単独で読むよりは、併せて読むと理解が深まるかもしれない。
9.流通業界
流通業界の課題図書
無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい
コクヨ式 机まわりの「整え方」 社内で実践している「ひらめきを生む」3つのコツ
感想
いずれも流通業ではない会社に関する本である。
株式会社良品計画は2010年以降、利益率を伸ばしながら売上を34%増加させており、またコクヨ株式会社も同じ時期に利益率を劇的に改善しつつ売上を増加させている。
このような背景から、現場のオペレーションが重要な流通業の会社が、上の2冊に参考にすべき点があると考えるのは自然なことかもしれない。
株式会社良品計画は2010年以降、利益率を伸ばしながら売上を34%増加させており、またコクヨ株式会社も同じ時期に利益率を劇的に改善しつつ売上を増加させている。
良品計画もコクヨも、現場の生産性改善に強くフォーカスする会社だと言われており、特に良品計画は現場の声を重視したマニュアルを売上増加の要因に挙げるほどである。
このような背景から、現場のオペレーションが重要な流通業の会社が、上の2冊に参考にすべき点があると考えるのは自然なことかもしれない。
10.商社
商社の課題図書
営業マンは「商品」を売るな!
ロジカル・プレゼンテーション
感想
営業にフォーカスした書籍だろうか。商社では担当する商品によって習得すべき知識がそれぞれ異なるはずであるから、共通化できる部分としてこの2冊が挙げられているのかもしれない。
11.製薬業界
製薬業界の課題図書
論理的な考え方が面白いほど身につく本
決算書の読み方が面白いほどわかる本
感想
一般的なハウツー本が2冊で、あまり読書による自主学習に期待していないことが伺える。
12.医療機器業界
医療機器業界の課題図書
給料が上がる人、上がらない人のたった一つの違い
感想
「こういう社員の給与は上げる、そうでなければ上げない」という姿勢を提示する極めてストレートな課題図書である。ブラックボックス化しがちな人事評価制度を、参考とは言え会社側が明らかにしているのは素晴らしいことではないか。13.教育機関
教育機関の課題図書
「管理職」のための七つの道具術
ひと目でわかる英文契約書
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
プラットフォームビジネス最前線
オープン&クローズ戦略
感想
具体的な企業戦略の書籍が並び、経営や企画に関わる社員向けのセレクトであろうことがわかる。『プラットフォームビジネス最前線』は、成功したプラットフォームビジネスを纏めて紹介しており、具体的事例から概要を掴みたい人にはおすすめできる。ただ、事例から一般化された理論や方法論の記述はあまりないため、既にプラットフォームビジネスについて詳しい人にとっては、あまり意味がないかもしれない。
(後編に続く)
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